「管理者養成学校奮闘記」



ども。私は8月1日から8月13日まで、会社の命令により静岡県の富士郡にある「管理者養成学校」で「13日間・管理者養成基礎コース」 なるものに参加してました。このコースは10年ぐらい前にマスコミで結構有名になったそうで、猫も杓子も管理者養成学校 へ行かされたそうです。ではなぜ今ごろなんでしょう。実はうちの営業部長が7月1日からの上級コース(9日間)へ参加して 来たばかりで、「やまぢ君、君も是非行ってきなさい!」とのお達しが..........。
部長命令なら仕方ありません。
「まあ、遊んでくる感覚で行ってこいや」と父がいいます。父も過去にこのような訓練(研修)に数回参加しており、ある程度 のこつは分かっているようです。まあ、私もそんなわけで軽い気持ちで行ってみようと決意しました。しかし、課長の「まあ、 甘く見てたら、えらい目に遭うぞお。」という事がいつまでも耳に残ってました。
13日間という期間は非常に長いです。だって、約2週間ですよ。これがきちんと13日間で帰れれば問題ないのですが、 本当に13日間で多くの課題に合格して帰れるのはほんの数%。ほとんどの人は1日〜2日の補講を受けての帰還となります。 今回は8月14日よりうちの会社が盆休みということで、1日延びる毎に盆休みが減ってしまうため、これは何としても13日 間で卒業せねばと思っていました。しかし、毎回卒業できるのは数%。これは駄目だなあと半分諦めてました。




周りの人は「やまぢさんは絶対13日で卒業できないね!」と憎たらしく言い張るので、「絶対13日で帰ってやる!」と心に密かに誓うのでした。
さて、得意先のかわいい女の子とも暫く電話で話しができないなあ..........、などという不純なことを考えながら、7月31日 に新大阪を出発。静岡で乗り換えて、いざ管理者養成学校へ。富士宮駅で待っていたのは、クーラー設備もない、超旧式の送迎 バス。おいおいと思いながらも、バスに揺られて日暮らしの美しい泣き声の中を30分程度走りますと、学校が山の頂上にありました。 うーん、何もない。これが第1声です。「TVもねえラジオもねえ..........」なんて歌が以前ありましたが、まさにその通り。 新聞やカレンダーすらないんです。完全に外界から遮断された空間なんですね。食堂にはすでに来ていた人で溢れかえってました。 皆さん不安な表情を隠せません。2枚のシーツに枕カバー。1枚の訓練着を手渡され、第5訓練室へ移動しました。中にいる人は みな緊張からしゃべろうとしません。まあ、わかりますが、この10余名でこれから13日間の地獄を見るんだなあなんて考えて いる間に就寝時間となりました。






さて、8月1日。いよいよスタートです。入校式から講師群の厳しい声が飛び交います。「気を付け!」「礼!」「声が小さい!」 「もっと素早く!」この声の大きさと威圧感で、まず普通の人は参ってしまいます。そして名物の「決意表明」です。 「〜より参りました、〜です。私は〜」などという内容で決意を1人づつ発表していくのですが、声が小さかったりやり方が間違っ ていたり、内容がよくなかったり、気合不足だと判断されるなり「後回し!」となってしまい、次の 順が回ってくるまで待っていなければなりません。これを全員ができるまでやらされるわけですから、2時間以上は掛かるわけです。 中には、「決意はありません!」と答えた人もいて、その人はその日に「退校処分」となってしまいました。
さて、私たちは直ぐに13個のリボンを渡されます。その1つ1つが審査の対象になる科目の名前になっており、全部はずれると 卒業できる仕込みになってます。主に審査の科目は下記の通りです。




「恐怖の審査項目」



@「行動力基本動作10ヶ条」暗記

「第1条:ぐずぐず始めるな時間厳守..........」から始まる、行動の基本となるものを詰め込んだ10ヶ条の文章を暗記し、 審査官の前で2分以内、10個所の間違い以内(90点以上)で言えれば合格。ややこしい文章が多いので、非常に困難。審査が始まるまでに 4日しかない為、私は焦りまくりました。しかし焦っても仕方ないですよね。焦れば焦るほどうまくできないもので、私は 5日ぐらいで暗記はしたものの、本番の審査でなかなか合格できなかったんですね。こいつが合格できないと、後の課目に 非常に響いてくるので、とにかくがんばって最初に合格を取らねばなりません。
尚、これを暗記すると、日頃の行動において結構思い当たる部分が多い為、結構役立ちます。



A「素読」審査

「管理者の条件」の中から抜粋された文章をそのまま読む物なのですが、非常に難しいんです。声は低く、大きく、力強い声で。肩の 力を抜き、テンポ良く、何よりも威張った声で読むんです。私はもとの声が高かった為に低い声が出ずに苦労しました。管理者たる もの甲高くか細い声ではいけないということで、この訓練があるのですが、50点で合格なものですから結局最後まで残ってしまいま した。



B「セールスガラス」審査

演歌調の歌で、基礎コースのテーマ曲だそうです。「額に汗して創った物は額に汗して売らねばならぬ。」 といったような歌詞でちょっとダサい唄なんですが、何十回、何百回と唄っていくうちに、胸に染みる唄になって くるんです。班の友と肩を組みながら唄ったら、もう涙もんです!この審査は3大難関審査に入っていて非常に難しい 審査なんです。音程から歌詞、声の低さから大きさまできちんと見られるので、非常にむずい。



♪「セールスガラス」♪


額に汗して造った物は、額に汗して売らねばならぬ
涙を流して造った物は、涙を流して売る物さ
くよくよするなよセールスガラス
眼下を見下ろし、この町並みで
男の舞を舞ってみよ

数字が半分足りない時は、数字の2倍をやらねばならぬ
人に遅れを取りたる時は、人の2倍を歩くのさ
元気を出しなよセールスガラス
眼下に広がる、この町並みで
力の舞を舞ってみよ



C「道順」審査

「最寄りの駅より当社までの道順を御案内します。」から始まる、まさに道順をお客様に説明する審査。明るく大きな声で、簡潔明瞭 に説明しないと合格できません。意外ときちんとした説明はできないもので、結構難しいものでした。



D「40の質問」審査

この管理者基礎コースの中でもっとも難しいとされる「8分間スピーチ」の3本立て。8分間スピーチと言えば原稿用紙で約6枚ぐらいです。 当然色々な人が参加しているのですから、内容までを自分で書いて行うのは非常に困難です。よって、タイトルや内容は決定していて、その 原稿を暗記し、自分なりの言いまわしていいので、内容を忠実に再現するという物です。このスピーチは50人程度のお偉いさん方を相手に スピーチをしているような雰囲気で行うということが前提となっているため、大きな声で、リズミカルに、説得力(これが大事)のある言葉 が望まれます。タイトルは「パンと牛乳(サラリーマンの朝食の現状)」(30点合格)「時間厳守の意義について」(60点合格)「挨拶の効用について」(70点合格) の3つで、これが全部合格して40の質問が合格となります。難易度は「挨拶」がもっとも難しいです。審査の先生達審査中の演技が本当に 大袈裟で、声が小さかったり、面白くない内容だと欠伸をしてくれたり、目を逸らしてくれたりするんです。 また、一生懸命やっているのに、下を向いて何か書き物をしているので「俺の話を聞け!」とつい言いたくなってしまうんですが、 それが気になってスピーチの内容を忘れてしまう人もいるようです。しかし、何人もの人の同じ内容のスピーチを何回も 聞くって、本当に大変そうです。



E1分間スピーチ

1分間の短いスピーチを人前で行う物です。内容は特に定められておらず、とにかく大きな声で今の気持ちを述べればOK。30点以上3本 取って合格でした。



F「体操」審査

国民の体操とも言われる「ラジオ体操第一」を基本に、更なる改良を加えた超ド級体操。大袈裟なぐらいに曲げるところや伸ばすところが デフォルメされており、さらに大声で番号を叫びながら行うので、苦しさ倍増!声が小さかったり、きちんと出来ていなかったりすると、 また始めから行わされるという非常にきついものです。うちの班員は連続で6回ぐらいやらされて、しっかりとゲロリンしてしまいました。 これを毎朝、朝礼でやらされるんですからたまりまへん。足腰が筋肉痛で痛くなってしまいますよ。



G「合宿訓練参加報告書」

いわゆる日記というやつで、きちんとした書式に基づいて書かなければなりません。最悪なのは「中身と書式が完璧にならないと合格できない」 というもので、こいつもしっかりと審査の中に取り込まれているんですね。また、この報告書は自分の会社の自分を派遣した責任者へと送られ るわけで、へたにいい事を書くと後が大変ですが、いい事を書かないと合格をもらえないので、結局良い事を書き連ねてしまいます。



H「清書」

一枚の手本があり、それを忠実に書き移すという、大変気の滅入る作業。手本が小さい上に、鉛筆書きで、消しゴムは一切使用不可。字の間隔 や並び方まで完璧にやらなければならないので、本当に字の汚い私には地獄です。当然審査の対象ですからさらに苦しみが倍増!
しかし、人間死ぬ気になれば何でも出来るもので、何回か気合いを入れて書いていくうちに書けるんですねこれが。



I「発声」審査

まあ、大きく低い声が出るようにという練習を兼ねた審査。まあ、これはそんなに辛くないんですが..........。



J「電話報告」審査

本当に電話を使用しての報告審査で、審査官相手に訓練の感想や結果報告などをするものです。内容は自分で考えて 行うんですが、毎日合格するまで行われるため、ねたが尽きてしまいます。実は、毎日変わった内容でなくともよかった らしく(本当はどうか知りませんが)同じ内容で行って、詰まったり表現が悪かったりしたところを直していけば、 かなりの点数をもらえたとか..........。しかし、この電話報告は非常に辛くてしまいにゃあ悩みの種となってしまいます。 基礎コースの歌に「地獄の友よ」というのがあり、その歌詞の中に”電話に震えた事もある”という歌詞があるぐらいにこの電話 は厄介です。大声で元気よくやらなければならないのがまた辛い..........。



K礼儀

これは審査ではなかったんですが、この礼儀は非常に厄介な存在です。訓練中や色々な時に、講師の先生が各班を うろうろしれおられます。この際にきちんとした礼儀(挨拶等)が出来ないと卒業できないんです。特に、13日目 に校長自らが視察に出てきて、きちんと出来ない人間の卒業を取り消すために監視しているという 非常に恐ろしい話です。「白髪のストップウォッチを持っていない教官に気を付けなさい!」





L富士宮駅頭魔の3分間

これはかなり有名な話なんですが、JR富士宮駅で大声でセールスガラスを唄う、駅頭歌唱訓練というのがあります。 とにかく大声で音程や歌詞なんて間違っていてもいいんです。人がいっぱいいるところで歌うわけですから、本当に 緊張に弱い人は大変な思いをするようです。面白い事に、普通学校から脱出する方法というのはほとんどないので、 この駅頭歌唱で駅に行った隙に、電車に載って脱走する人もいるそうで、実は私の参加した第436期の人の中にも 大量の荷物を学校に残したまま脱走した人がいたそうです。
この訓練は、富士宮駅では有名な話で、訓練生に「がんばれよ」「ご苦労さん」「歌詞が間違ってるよ」とか言って くれる人がいます。講師の先生は50mぐらい先にいて、合格なら○、失格なら×のサインを手で出してくれます。





M40キロ夜間行進

この基礎コースのもっとも大きな行事なのが、この40キロ夜間行進なんです。まさに40キロという非常に長い距離 を歩くわけで、日頃マラソンをしている人以外はこんな距離を歩く事がないわけで、とにかく想像を絶する距離ですね。 ただ40キロを歩くのではありません。1班10余人で構成された部隊は、指揮官、副指揮官、斥侯、装備、記録、 クリーン(掃除)に振り分けられます。手書きの地図を渡されて(非常にあてにならない)斥侯が2人1組で3組おり、 50m間隔で行動します。斥侯の能力で行動が決まってしまうぐらいに大事な役なんです。1班に与えられる装備は 各人に水筒、弁当、リュックが各1個。1班に持たされる所持金は10円玉10枚のみ。民家に立ち寄ること禁止、 道を聞く事も禁止、午後9:00以降に大声でしゃべる事禁止などなどかなり厳しい条件が付いていますね。
歩く道は殆ど上り坂。アスファルトなのですぐ足にまめが出来たり、水脹れが出来たりしまして、非常に辛い! 休憩は55分に1回で、5分間。最低でも10時間は掛かって歩きます。私たちの班は11時間かかりました。
午後の2時30分から出発式が始まるんですが、こいつがすごい!指揮官・副指揮官が先頭に立ち、宣誓を行うんで すけれど、これがまたカッコイイんですね。また、「ああ、40キロ夜間行進」という歌があるんですが、これも渋い。 気分は軍隊ですね。宣誓は2人の動きが合っていなかったり、気合が不足していたりすると「後回し!」でいつまでも 出発できないんですね。これを見事クリアして出発するんですが、部隊がグランドから見えなくなったころに彼方から 聞こえてくる「やるぞーっ!やるぞーっ!やるぞーっ!」という声がまた泣けます。これぞ「THE演出」って感じですか? さて、ゴール10キロ前は本当に死にます!水筒の水は補給できないので、脱水状態になってしまったり、足がぼろぼろで ほとんど「歩いているという」より「動いている」って感じですね。とにかく3時ごろ出発して帰ってきたのは午前2時。 途中で前が見えないぐらいの霧が出るわ、雨が降ってくるわ、途中で道に迷うわ(これが最悪でした。1時間30分は迷った と思います。)で、本当に泣きました。道に迷った時は本当に恐ろしかったです。民家には立ち寄れない上に、午後10時を 過ぎていたので、大声でしゃべれない。体はぼろぼろ。こんな状態で迷いに迷って何度分かれ道を戻ったか。道端で蛍が舞って いたんですが、これも見ている余裕がありまへん。「40キロ夜間行進」歌にもこんな歌詞があります。


汗にまみれて、血豆をつぶし
とぼとぼ歩く分かれ道
蛍舞う闇をかき分け


本当にぴったりですね。しかーし!こんな感動している場合じゃないぐらいきついんですよ。マジで。




♪「40キロ夜間行進」♪

当てにならない地図渡されて、行くぞ地獄の2人連れ
夕闇せまる林の中で、探しあぐねて佇めば
山桜の花が優しい
ああ、20キロ夜間行進

暗い電灯をほのかに照らし、しょぼふる雨の山の道
汗にまみれて血豆を潰し、とぼとぼ戻る分かれ道
蛍舞う闇をかき分け
ああ、20キロ夜間行進

頼りにならない足踏みしめて、行くぞ地獄の10余人
空の水筒カチカチ鳴って、動けぬ友の肩を負う
すすき野は風に吹かれて
ああ、40キロ夜間行進

凍える体に足引きずって、さまよい歩く獣道
愚かなことだと身を投げ出せば、動けぬ友が手を伸ばす
星空に白く立つ富士
ああ、40キロ夜間行進





N入浴訓練

これは審査と関係ないのですが、入浴も訓練のうちで、ゆっくり入っている場合じゃあないんですね。一応班の入浴 時間は決まってますので、全員で「入浴訓練心得」を唱和してから入ります。「一、頭からお湯を3回かぶる」 なんていう文句が続いていて、風呂に入る前にしっかりと汗をかかされます。ゆっくり湯船に浸かっていてもいいん ですが、この入浴の後に「合宿訓練参加報告書」及び「清書」をしなくてはならないので、時間に追われます。また、 風呂の後にも汗臭い訓練服や靴下まではかないといけないので、これまた風呂が台無しです。



O睡眠訓練

はっきりいって昼寝です。はい..........。


P卒業試験
上記の審査を全て合格した時に受けられる物ですが、普通のスピーチに見えて実は普通ではありません。まず、間髪を 入れず審査が合格したらいきなり審査室へ連れて行かれるもんですから、内容を考える暇もありません。そして、 中身が薄かったり、具体的に述べられてなかったり、希薄不足だったり、審査官の涙をそそらなかったりすれば、 即失格の遣り直しです。私も、いきなりやらされて自分でも「よっしゃ!」というぐらいのスピーチができましたが、 「やまぢさん。そんなスピーチではわれわれの心は動きませんよ。」と言われて遣り直しさせられること3回。まだこれでも ましな方で、ひどい人だと5、6回はやらされるそうです。3回目なんて何を言ったらいいのか分からなくて、心に 思いついたことをただ並べただけでした。もう大声を何回も出さされて貧血を起こし、全身痺れてくるわ、わけが わからなくなってくるわで終わってみたら何をしゃべっていたのかあんまり覚えていなかったんですね。しかし、 そこまでしないと合格できないんですよ。



Q事務局への報告
これは審査ではありませんが、卒業試験が終わっても最後の最後まで気が抜けないのが管理者養成学校。試験をパス して、事務局への報告をしなければなりません。この時に声が小さかったり、礼を忘れたりすると、卒業取り消し処分 をくらってしまうんですね。だから最後まで完璧にできないといけません。




以上が主な審査項目なんですが、何も審査ばかり行っているわけではありません。当然管理者養成学校なわけですから、 管理者たるべき者の考えや行動などもディスカッション形式で行いますし、勉強もします。ここで間違ってはいけないのは、 審査は審査を行う為だけにやっているのではないということです。つまり、審査対象になっているもののほとんどは管理者養成に 必要なものであって、例えばスピーチを取っても管理者たる人間が人前でスピーチできないのでは困るといったように スピーチの特訓でもあるのです。40キロ行進も持続性を持たせるなどなど、無駄なものはないんですね。まあ、辛い ことには違いなく、最後まで「何で俺がこんな所で、こんな目に合わなければならないんだ?」といっている人が いますね。まあ、こんな人の多くはきちんと卒業できないんですけどね。



「戦い終わって......」




○修了式

無事すべての難関を突破すると、ようやく修了式です。この終了式は13日目の午後が一番目で、14日目の午前・午後。 15日目の午前・午後、16日の午前・午後という風に行われます。終了式にはその日の1番に修了した者が校長に 答辞を読みます。1回目の修了式に参加するのは並大抵の努力では出来ないようで、13日で卒業できるのが、全体の ほんの数%。私たち第436期は参加数65名で13日卒業はたった4人でした。ちなみに私は13日の定期通り の日数で、65人中2番で卒業 できましたよ。主席、次席には賞品が出るのですが、主席には40キロ行進に使用した水筒(新品)と訓練服、次席 は訓練服だけですが、こんな訓練服をもらってもどうしようもないですね。








○別れの杯

修了式の後にすぐ行われる感動の場面。在校生がグランドで卒業生をコの字に取り囲み、卒業生は円になって手には 杯を持ち、リーダーが言葉を朗読するものです。朗読する文は下記の通り。



別れの杯の意義を申し上げます。
一つ、13日間戦闘完遂の証
一つ、師弟関係解除の証
一つ、別離と未来の幸運への祈り


♪「式典唄」♪
声しどろにもつれ、身は鉛となりて
倒れても尚進む、力の限り
動ざる足捨てて、いざりてゆかば
美しき御山富士、雄々しき御姿
戦い終えて勇者帰り行く


この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注いでおくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ




まあこんな感じでおこなわれまして、卒業生が在校生に礼をした後に、卒業生が汗にまみれた訓練服をいっせいに 空へ投げます。(うーんよくある光景だ)そして、在校生の見守る中、タクシーで山を降りていくんですね。 ねえ、感動でしょう?実はこの別れの杯は次席卒業者がリーダーをするんですが、私がこの名誉あるお役をする事が できました。正直言って主席の答辞よりもかっこいいでしょう。




最後に


この合宿訓練は10年ほど前にマスコミで取り上げられ、一大ブームを巻き起こしました。しかし、マスコミが取り上げた のは「管理者養成のプロセス」ではなく、「訓練の厳しさ」だったようで、「地獄の13日間」という厳しさだけが 取り上げられてしまい、本来何を主とした訓練なのかわからなかったというエピソードがあります。確かに厳しい訓練で 辛さのあまり泣いてしまう人や、ノイローゼになってしまう人もいますが、そんな人の多くは「何で俺がこんな所で..........。」 と最後まで思っているものです。例え脱走して帰ったとしても、待っているのは「脱落者」という汚名だけ。来てしまった 以上、やり遂げて帰らなければ明日はないんですね。ですから、1日でも早く「やらされている」から「やってやる!」 という気持ちになる事が重要な事だと私は思いました。せっかく会社が大金を出してまで学ばせてくれているのだから 少しでも多くの事を吸収して帰ってやるという気持ちになった時に、成果が現れてくるように思います。
今回私は好運にも次席という成績で卒業できました。しかし、帰ってからが重要なのは言うまでもありません。いくら 学んでも、実際に生かせられなければ意味が無いからです。よって、今からが私のしんどい時なんですね。だって、 「学校へ行って来たんだろう?」と言われれば終わりですから..........。


♪「地獄の友よ」♪

やって来いよと送られて、13日間地獄行き
五時半起床は良しとして、30点には泣かされた
鬼軍曹の愛の鞭、震える声でセールスガラス
富士宮駅頭魔の3分間
さよなら、さよなら
ああ地獄の友よ

パンに泣いてた奴がいた、電話に震えたこともある
己の無能を知らされて、ままよこのまま帰ろうか
眠れぬ夜の風の音、戦友達に励まされ
地獄の底を這い回る
さよなら、さよなら
ああ地獄の友よ

駄目な男の土壇場勝負、とうとう別れの時が来た
地獄仕込みのこの腕を、娑婆で試してみようかい
男の友情1つ釜、やってやるぞと1声叫べば
富士の高嶺に雲が沸き立つ
さよなら、さよなら
ああ地獄の友よ
ああ地獄の友よ






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